超高速開発コミュニティについて

Concorde

@ITの「超高速開発コミュニティ」を設立――日本が19位で黙っているわけにはいかないという記事を読んで、CASEツールブームの頃の記事を読んでいるかのような錯覚を覚えただけで興味は湧かなかった。*1でもFacebookで「話題の超高速開発について、気になった人は目をとおしたほうがいいと思います。」というコメント見かけたので読んでみた。

「超高速開発コミュニティ」は何を目指すのか - ジャスミンソフト
超高速開発ツール(または手法)の普及活動を行う「超高速開発コミュニティ」がいよいよ立ち上がりました。

だけど「CASEツールブームよ、もう一度」という心象に変わりはなかった。当時を知る人間が決済者に居るであろう現在に再びブームを生むことは極めて難しいんじゃないだろうか。

自分自身はブームの当時にベンダーの片棒を担いで広告記事でインタビュー受けたり、導入検討している会社の担当と話をしたりしていたので*2ツールそのものに敵意はないし、当時はそのツールがなければ完成しなかったであろうシステムもあるのでツールの活用は否定しない。それでも今現在似たようなツールの採用を検討するととなると(しないけど)相当慎重になるのは間違いない。

成功事例や制約事項をベンダーがいくら丁寧に説明しても、ツールの制約や特性を理解したデザイン、ツールによる制約に関わるユーザへの代替案提案能力、ツールの熟知と不具合回避能力などが不可欠であり、ハマれば早いがハマらなければ早く作れるが使いにくいシステムが出来上がるだけになってしまう。*3

またクローズドなために習得できれば高速だが、人員増加が必要なときでも人員を確保できないという問題もあるし、技術者目線でみても特定開発ツールの細かなノウハウを身につけたとしても他への応用が効かずツールと共に終焉を迎えかねないという問題もある。

今回の話はベンダーに加えてユーザ同士がコミュニティで情報交換出来るようにして、これらの問題を乗り越えようとの試みだとは思うが、現場の業務システム開発者がベンダーコミュニティに出てくるとは思い難い。ブームの当時も各ツールのユーザ会はあったが、開発者同士が情報交換できたとういう話は聞いたことが無く、そもそも技術者がメインで参加しているというユーザ会は皆無だった。IT勉強会がブームと言われて久しいけれど、ベンダー主導のコミュニティ運営がどうなるかには注目したい。*4

いずれにしても、なぜ4GLやCASEツール、コードジェネレータのブームが去ったのか、なぜ敬遠されたのかという点を真摯に考えなおさないと、第二のCASEツールブームどころか企画倒れにしかならないでしょう。

それとSI屋の未来みたいなコメントが関連のブックマークのコメントにあったけれど、SI屋は投資した挙句に工期が短くなると減収にしかならないから恐らく乗らない。この流れに乗ろうとするのは情報システム部で業務システム開発しているとろがメインであって、SI屋が乗るとすればツールの売上が欲しいところだけでしょうね。


まぁツール自体は使う開発者がデメリットに対する覚悟さえ出来ればどんどん使えば良いし、ベンダー主体じゃなくて現場の業務システム開発者が集まってコミュニティが出来ると面白いかなぁとは思います。

*1:実はtwitterを追い切れてなかったので、そんなに盛り上がっているとは気がつかなかった。

*2:恐らく10者以上の人と話したはず

*3:結局どれかが欠けていて、作ったシステムのユーザの評判が悪かったり、ユーザの要望に代案を出せず結局高額なツールを捨てた事例を大量に知っている。

*4:企業主体のユーザ会と言えば比較的成功しているように見えたIBMのユーザ会iSUCの最近の動向はどうなんだろうか