Trac入門

Tracはチームが既に確立している開発プロセスと開発ポリシーに影響をなるべく与えないように最小限のアプローチを提供するWebアプリケーションです。

〔改訂〕Trac入門 ~ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド (Software Design plus)

〔改訂〕Trac入門 ~ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド (Software Design plus)

通称「白本」ことTrac入門の改訂版を献本頂きました、ありがとうございます。*1


結論から言うと、Excelで課題管理してるところは取りあえず読んでおけ!でしょうか。
そんなことを言うと恐らく「今はRedmineでしょ〜」とか「チケット駆動開発が〜」と言い返す人も多いでしょう。でも「話はExcelの管理、日付フォルダを止めてからだ!出来てないんだから四の五の言わず読め!」と言える良さが本書にはあります。道具を変えても変わらない本質的な不具合・課題管理についての話が、この本には書かれています。


白本が出てから5年が過ぎようとしてるとは月日の経つのは早いものですが、未だに何か聞かれると先ずはSubversion実践入門白本をセットで読んでおけと言い放つことが多かったりします。前作ではTracのバージョンが0.11で今では細かい部分で古くなっていて気になるところが出てきていましたが、今回の改訂でTracが1.0がベースとなり、第1章のコラムには0.12からの主な変更点も纏められていてるので、そのあたりの問題も解消されているのでお薦めしやすくなりました。*2


前作も今回の改訂版も不具合・課題管理をTracで対処していく流れには変わりなく、第1章から第4章までは前作ほぼ同じ内容になっています。しかしコラムや挿絵を含めて細部に見直しがされており前作以上にスっと入ってくるように仕上がってます。*3


第5章では近年の技術的環境の変化に併せて前作でのSubversionに加えてGit,Jenkinsについて触れられています。Twitterなどでは「バージョン管理やCIしてなくて許されるのは小学生までだよねww」とまで言われるようになってるので必然と言えると改訂だと思います。ただ前作でもSubversionの下りが分かりにくいという指摘がありましたが、Gitについても本書のみでは分かりにくいです。本書中にもありますがインストールされていることが前提となっているため、GitはGitポケットリファレンスを参考に環境を用意するなどすると理解が進むと思います。
Jenkinsの紹介については少し残念で、CI以外での使い方もあると良かったかなとは思いました。


6章以降も現在の環境に合わせて見直されており、リファレンスとしても十分に使える内容になっています。赤本の改訂が行われていない現状では貴重な書籍ベースでの資料です。



機能的に比較してRedmineに劣ると言われるTracですが本書を読み進めれば、必要十分な機能が備わっていることが理解でき、Tracが最小限のアプローチで開発者を支援してくれることが分かってもらえると思います。
是非<改訂>Trac入門を手に取り古びた管理手法から脱出を試みてください。


そんなわけで私の取りあえず読んでおけのセットは、

となりました。*4

〔改訂〕Trac入門 ~ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド (Software Design plus)

〔改訂〕Trac入門 ~ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド (Software Design plus)

Subversion実践入門:達人プログラマに学ぶバージョン管理(第2版)

Subversion実践入門:達人プログラマに学ぶバージョン管理(第2版)

Gitポケットリファレンス

Gitポケットリファレンス

入門TortoiseHg+Mercurial

入門TortoiseHg+Mercurial

おまけ

なんか使ってみようかなぁ〜と漠然と思ってる人は、本書の前に読むと良いと思います。
Redmineのようなツール導入で悩む人にいつも投げかける6つの質問 | 「世界」旅と子育てとエンジニアリングマネージャーのブログ

*1:3月8日発売ですが既に店頭に並んでいるところもあるようです。

*2:逆にTracLightningが0.12ベースなのが・・・

*3:読んだ印象が違い過ぎたので、前作を読み直したのですが内容自体はほぼ同じでした。

*4:それに加えて未読だけど入門TortoiseHg+Mercurialかな?